ボイフレの亡霊

ボイフレの亡霊

2019-06-10 01:39:17 リアクションシンボル8件
桑門先輩の彼女になりたかった。彼にとっての彼女というのはきっと恋愛関係のことではなくて、大きなsheのことだった。周りに興味を抱かず、周りの綺麗なものだけに惹かれていく先輩はひどい人だった。でも同じくらい素敵な人だった。先輩が無我夢中で筆を動かす。水入れはとっくの昔にドブ川みたいな色になっていて、パレットは涙が滲んだ瞳で見上げた虹のようだった。カーテンが動くので、わたしは窓が開いていることに気付いた。先輩の横髪も少し揺れている。わたしは桑門先輩の絵がわからない。だけど桑門先輩がわかりたかったから、知りたかったから、ひたすら先輩ではなくカンバスの方に集中していた。ああ、チャイムが鳴ってしまう。
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