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五月は、丁寧な蜂が挨拶に来る。本名を小さな声で教えてくれる。 /初谷むい『ポン』
ごめんねと小さく謝る夢のなか運転席の母が笑った/スズキ皐月『涙よりやわらかい夢』
左手はピース 右手はさようなら 7だよ /イルカーン「甘く甘い」
暗がりからひねるドアノブの回転が見えていたここに入る前から/伊島研二『輪郭』
エアホッケーあるでしょ 打ち返してくれる人がいないとああなっちゃうよ/はだし『ポーズ』
やなことがあつて季節の花が咲き 問1なにが咲いたでしょうか/斉藤斎藤『渡辺のわたし』
参ったな、六枚切りの食パンは片手で持てないくらい重いぞ/直泰『かっこいい嘘』
木星はたぶんあなたが病院で頭をなでた猫だったのだ/正岡豊『白い箱』
山頂まであと160メートルと標識は謎の人のように告げる/正岡豊『白い箱』
手でつくるカエルは黒い手袋をはめて作ると黒いカエルだ/田村穂隆『湖とファルセット』
どらやきを0こドラミにわたされて彼はどんなにうれしかったか/直泰『十分間の電話』
町工場トタンの屋根に霜ひかりしばしの愛をわれら誓ひき/山田富士郎『アビー・ロードを夢みて』
地獄まで通じる穴があるのならバターナイフを落としてみたい/森下裕隆『吠えないのか』
あの友は私の心に生きていて実際小田原でも生きている/柴田葵『母の愛、僕のラブ』
どの人も反応がない爆睡してるすごくうれしいこういう時だけ /大前粟生『水面と水中』
字を書くよと背中に置かれた指先がそのままずっと動かなかった /飯田有子『42点』
何のためでもない文章の光り方をしてたから私にもわかった /相田奈緒『私の性格』
イベント【11(イレブン)】で挙げてもらった短歌②①
イベント【11(イレブン)】で挙げてもらった短歌②⓪
イベント【11(イレブン)】で挙げてもらった短歌①⑨